宣伝会議「ブレーン」主催 オンライン動画コンテスト「BOVA」

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News【限定公開】「BOVA」審査員が語る、縦型動画の“勝ち筋”とは?

9月1日から第13回BOVA 縦型動画部門にて作品を募集している。応募作品に対して、審査員たちが重視することとは? 7月に開催された「ブレーンサミット」にて縦型動画部門の審査員3人が登壇。前回のグランプリ受賞作品とゴールド受賞作品の審査のポイントを振り返る(本記事は『ブレーン』2025年10月号からの抜粋記事です)。

説明文

(左から)
あかし・がくと/ワンメディア 代表取締役CEO /動画プロデューサー。1982 年生まれ。静岡市出身。上智大学在学中に動画制作を始める。2014年6 月にONE MEDIAを創業。国内大手ブランド向けにYouTube やTikTok などの動画コンテンツに加え、近年はポッドキャストなど音声メディアにも深く関わりながら、SNS 時代のブランドコミュニケーションを一貫して手がける。最新の著書『動画大全』(SBクリエイティブ)は韓国・台湾でも出版。YouTube Works Awards 2022 クリエイターコラボレーション部門代表審査員、TikTok Ad Awards 2024、2025 審査員を歴任。
 
いちかわ・はるか/ CHOCOLATE プランナー、クリエイティブディレクター。1990 年生まれ。ちょっとだけでも、良い気分になる広告を目指している。2022 年よりCHOCOLATEに所属。読売広告社にもパートナースタッフとして所属。過去の仕事:サントリーペプシ「本田とじゃんけん」「クールポコ」シリーズ、アース製薬「片手でモンダミン」、イエローハット・ピザハット・リンガーハット「ハット首脳会談」、東亞合成 アロンアルフア「時間が余るCM」、サントリー特茶「特茶クリスマス」など。
 
まなべ・かいり/ PARTY Creative Director、Filmmaker。広告、子育て、ときどき映画。“ 驚き”と“ 発見” を与える映像を得意とする。主な仕事として、AUTOWAY「雪道コワイ」、スタサプ「18 の問い」「現在地点」、近畿大学「MAGROBO」、GREEN BATON「My Wear」、RADWIMPS『SHINSEKAI』など。短編映画『フューチャー!フューチャー!』はSSFF&ASIA2024にて特別賞、俳優賞を受賞。

グランプリ作品 評価のポイント

眞鍋:私たちが審査を担当している、『ブレーン』主催のオンライン動画コンテスト、第12回「BOVA(Brain online video award)」の結果が4月から5月末にかけて発表されました。このコンテストが珍しい点は、一般的な広告の仕事のように広告主から課題が提出されて、それをクリエイターが動画を使って解決していくところです。縦型動画部門は新設された部門で、その名の通り縦型の動画を募集します。初回にして673作品が集まりました。

今回はグランプリ作品とそれに次ぐゴールド作品の審査のポイントを振り返りつつ、企業のマーケティングやブランディングにおける重要性も高まっている縦型動画の“勝ち筋”について考えていきたいと思います。

明石:縦型動画部門の初代グランプリに輝いたのは、資生堂の課題「使用感の良さが伝わり、思わずアネッサを肌に塗りたくなる動画」への応募作品「Numbers」でしたね。

第12回BOVAの縦型動画部門にてグランプリを受賞した「Numbers」。代表メンバーは佐藤一貴さん( 電通)、大竹聡さん・大江海さん(ギークピクチュアズ)。

主人公の女性がコンビニでスマホを使ってバーコード決済をしようとすると、店員の頭上に「23」という数字が浮かんでいることに気付き、SNS や動画で調べると世の中で同じような現象が多数発生していることが判明して……という作品です。僕もめちゃくちゃいいと思いました。

市川:初代グランプリは今後の部門の指針をつくるうえで非常に重要なセレクトなので、審査員の皆で「本当に(グランプリとして)ふさわしいか?」という議論をかなり重ねました。

まず素晴らしいのは、縦型らしさを活かしたトリックと没入感。途中でSNS の画面に切り替わったりして、映像としての面白さに没入していくと、気が付いたら自分のスマホで起こっているようなことになっていて。

あと意外と発見だったのが、最近レジで決済の際によくある“バーコードを読み取る”アクションって、実はスマホの縦型画面で行うんですよね。そうしたシーンも盛り込まれていて、縦型動画である必然性が現れているのがいいなと思いました。

眞鍋:いきなりスマホのカメラがハックされることから動画が始まるんですよね。これは広告全般に言えることですが、導入でどう惹きつけるかは大事なポイント。そこからバーコード、X、動画に移動して、またカメラに戻ってくるというところで、スマホの中で日々見ているプラットフォームをどんどんジャンプしていく展開性も面白かったです。視聴者を惹きつける力や見続けさせる力はオンライン動画において非常に重要なので、そこに関してうまく練られている作品という点で、グランプリに選ばれました。

明石:実際、すでにアネッサのTikTok アカウントで公開されていて、しっかりバズっていましたよね。僕は普段SNS 動画広告の仕事をするうえでの成功の基準として、「プラットフォームを超えて話題になるか?」を注視していて。この結果を見るに、我々審査員の見立てに誤りはなかったなと思います。

お2人の話を聞いて、BOVA のもうひとつの部門である「オンライン動画部門」(横型・縦型限らず動画を募集)との違いがとても重要だと感じました。横型の動画の究極と言えばやっぱり映画で、これまでオンライン動画部門ではいかにそこに近付けていくか?という勝負になっていた気がします。

でも「Numbers」は、眞鍋さんが言ったように「スマホがハックされたような感覚」をつくりだしていて。実はこの表現を最初にやったのは、市川さんが所属するCHOCOLATE の栗林和明さんが手がけた、lyrical school の楽曲『RUN and RUN』のMV(2016 年公開)でしたよね。リファレンスにするようなネタがあるうえで、それをTikTok 時代のコンテンツに落とし込んだところがいいと思いました。

lyrical school『RUN and RUN』。

市川:そうなんですよ。あのMV から、ハック系というか、“侵入感”のある縦型動画は結構生まれましたよね。手法としては確立されてきたものの、今回の動画はそれが現代版にアップデートされているのが素晴らしいと思いました。

明石:我々も仕事をするときにレファレンスを集めて、エッセンスを抽出して、今の時代や雰囲気、世相にアジャストして、このクライアントに対する課題を解決するならこうすべきだと順序立てて考えています。それを「Numbers」は特に丁寧にやっていて、やはり初代のグランプリにふさわしい作品でした。

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本記事のこの後のTOPICS
・グランプリとゴールドを分けたもの
・受賞作品の「決め手」とは?

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